|
<<前のページ
☆2020/11/24更新☆
【読書雑記690】『大坂の非人 乞食・四天王寺・転びキリシタン』 (塚田孝、ちくま新書、800円+税)。江戸時代の身分制では、「非人」の実態を捉えるのは不可能だ。著者は、史料を丹念に読み込み、生死や養子婚姻関係、出身地など、人間の生の痕跡を見ていく。そうして作業を通じて明らかになったのは、町奉行所の御用を担っていたことなど、大坂の非人の驚くような実態だった。
本書で読者は、17世紀から19世紀にかけての非人の実態を検討することで、近世身分制の常識を問い直す。図版も役立つ。 江戸時代は「士農工商」の身分制で縛られた窮屈な社会であり、百姓や町人の不満をそらすため「えた非人」身分が政治的に作られたという理解ではないだろうか。しかし、続けて「江戸時代の非人は、もともと貧人という語でも表現され、乞食(こつじき)で生きざるを得ない人たちのことであった」という一文が続く。貧人(ヒンニン)→非人(ヒニン)なのか!そういう驚きではないか。
古代の浮浪(流民)から現代のホームレスまで、仕事や住居を失い、生活困難に陥ることは、いつの時代も、誰にでも起こり得ることだ。別に特殊な血統に限る話ではない。著者は、大都市・大阪につながる大坂の非人集団の実相を、史料から解き明かす。同じく非人と呼ばれていても、地域によって、そのあり方は異なった。江戸と大坂を比べても、かわた(えた)身分との関係等に、大きな差異があると著者は主張する。同意。好著。
Smart Renewal History by The Room
|