編集長の毒吐録
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☆2021/1/15更新☆

【読書雑記704】『中古典のすすめ』 (斎藤美奈子、紀伊国屋書店、1700円+税)。<「ベストセラー」以上「古典」未満>を基準に、「読書人」は本を「評価」するが・・。著者は、“読書界の懐メロ”を“中古典”という独自概念で48冊の本を読み、ガイドする。

著者は、〈名作度〉〈使える度〉なる独自基準を設け、48冊を腑分けする。<★★★ すでに古典の領域、★★ 知る人ぞ知る古典の補欠、★ 名作の名に値せず>、これは〈名作度〉。ついで、〈使える度〉。<★★★ いまも十分読む価値あり、★★ 暇なら読んで損はない、★ 無理して読む必要なし>。

48冊のごく一部から。●住井すゑ『橋のない川』水平社運動に向かった少年たちの物語●丸山眞男『日本の思想』憲法が破壊される時代への警告●中根千枝『タテ社会の人間関係』どこが名著かわからない●土居健郎『「甘え」の構造』 幼児的依存を体現した書●山崎朋子『サンダカン八番娼館』ルポライターとからゆきさん●鎌田慧『自動車絶望工場』大企業を敵に回した果敢なルポ●山口百恵『蒼い時』伝説のアイドルの「闘い」の書●村上春樹『ノルウェイの森』過剰な「性愛と死」があなたを癒す・・。

森村誠一の『悪魔の飽食―「関東軍細菌戦部隊」恐怖の全貌!』は、名作度★★★、使える度★★★となっている。この書は、日本軍の暗部を暴いたノンフィクションだ。「捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約違反、どころか規模はちがえど、これはナチのホロコーストにも匹敵する戦争犯罪であろう。その事実をカッパ・ノベルスという大衆的なメディアで放った本書の意義は大きかった。それがなぜ、攻撃の対象になったのか。ひとつは『歴史修正主義』の影響である。・・・森村誠一がいう『日本の軍国主義の復活を望みその告発を喜ばない勢力』はすでに出現していたのである。もうひとつの理由は医学界の闇に直結する。隊長の石井四郎はじめ、七三一部隊の隊員は、戦後、一切の責任を問われることなく、医学界や製薬業界、あるいは自衛隊に復帰した。GHQに人体実験データを渡すことと引き替えに、彼らが戦争責任を免れたことは、後に常石敬一『七三一部隊――生物兵器犯罪の真実』や青木冨貴子『731』が明らかにしている。七三一部隊は軍医、医学者、研究者などの軍属で構成されており、慢性的な人手不足を補うために、内地からスカウトした優秀な少年たちに教育を施す『少年隊員』の制度も設けられていた。『悪魔の飽食』の発表時には、こうした事実を知る人がまだ相当数、存命だった。だからこそ、本書の取材は可能になった。しかしまた、だからこそ、攻撃の標的にされたのではなかっただろうか・・七三一部隊の研究はその後さらに進み、『NHKスペシャル・731部隊の真実―エリート医学者と人体実験』などにその一部が反映されている」

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