編集長の毒吐録
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☆2021/2/9更新☆

【読書雑記711】『障害者排除の論理を超えて 津久井やまゆり園殺傷事件の深層を探る』(阿部芳久、批評社、2600円+税)。2016年7月26日の津久井やまゆり園殺傷事件の背景には、障害者を「生きるに値しない生命」としてとらえる優生思想があり、障害者福祉を社会的コストと考える「主義」があるだろう。そこにある障害者差別と優生思想は、少なくない人を捉え、間欠泉のように現れる。さらにそれは一般の人にも、出生前診断によって生まれてくる生命を否定する考えとして広がる。

やまゆり園の事件や強制不妊手術に見えかくれする優生思想を検証し、障害者は存在することに価値があるという考えの共有の途を探る試みと言えるだろう。

「この子がいたから世界が広がった。すてきな人たちに出会えた」「この子がいてくれるから楽しい」「何物にも代えられない大事な子なんだよ。でも、もう限界って思うことがある。いないとほっとしていることもある」。この言葉は本音だろう。しかしながら、みんなが同じことを考えるというわけではない。「この子に障害があってよかった」と思うのも、「でも、障害はできればないほうがよかった」と思うのも、どちらも本音だろう。どちらであっても、貫かれるのは、「存在そのものを否定することは誤りだ」ということではないか。

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