編集長の毒吐録
<<前のページ

☆2021/2/23更新☆

【読書雑記714】『展示される大和魂 〈国民精神〉の系譜』(森正人、新曜社、2700円+税)。「国民精神」なるものは創られる(少なくても日本、とりわけアジア太平洋戦争中はそうだった)。そして国民をがんじがらめに縛りあげ、戦争に動員した。「日本人は勤勉で器用で献身的・・」などと国民性を強調する。精神面を強調し賛美する考えが「大和魂」だった。

「大和魂」はナショナリズム批判の観点から批判されるが、快楽として受容されて広がりを持ったという歴史は無視できない。本書では、明治から現代までの偉人イメージ、展覧会、史跡、イベント、映画といった具体的な現れをつぶさに見ることで、国民精神がいかに語られたのか、提示され楽しまれたのかを追う。「国民アイデンティティ」の再考の試みと言えようか。言葉などの面から、ナショナル・アイデンティティを支える国民性の幻想が立ち上げられる。

作られた「国民精神」=「大和魂」は大衆娯楽を通じて浸透した。著者は、「国民精神」が意図して作り上げられたものと主張し、提示の方法を明らかにする。「今の時代だからこそ、自分たちの来た道を見定める必要があるのではないか」著者は言う。忠孝や勤勉、勇猛果敢、慈母などのイメージを持つ「国民精神」は日本人古来のものではなく、特に1930年代以降の戦時期に強調されたと言う。そこでは、日本文化の創出者としての空海や皇室の忠臣・楠木正成らが、大和魂や日本精神の体現者として、「物語」が作り出された。

Smart Renewal History by The Room

閉じる

First drafted 1.5.2001 Copy right(c)福祉広場
このホームページの文章・画像の無断転載は固くお断りします。
Site created by HAL PROMOTIN INC