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☆2021/3/16更新☆
【読書雑記720】『閉ざされた扉をこじ開ける 排除と貧困に抗うソーシャルアクション』(稲葉剛、朝日新書、790円+税)。マルクス流に言うと、「大人の貧困は自己責任という不寛容が日本社会を覆っている」。日々の寝泊まりにも困り、生活に困窮している人が声をあげにくい空気が強くなっている。住居を失った人が失うのは住まいだけでなく、生存そのものが脅かされるという恐怖だろうか。著者である社会活動家が、「社会的に排除された側」からこの国を見つめ直す。好著。
本書は、住居を失った人たちの困難、公的支援も得られず暮らさざるえない彼らを支援する人びとの取り組みについて書いている。後半は長年生活困窮者支援を続けてきた著者の考察があり、「でも結局は彼らと自分はあまり関係のない人たちだよね…」などと心に刺ささる言葉が並ぶ。
著書の中で、「スティグマが社会資源からの疎外、孤立、ストレス等を生むことが解明されつつある」と書かれている。「努力不足だからホームレスになったんでしょ」「意志が弱いから働けないのでは?」など、特定の属性にスティグマを張ることで差別にも繋がりさらには排除や貧困を生む構造ができると著者は言う。
少子高齢化により社会保障費を縮小する動きがあることで、「縮小するパイを奪い合う」ような感覚を持ってしまうことがさらに社会の対立構造を深めていく。生存権などの基本的人権の保障は、「支える側」と「支えられる側」のどちらかにプラスというものでなく、社会全体の保障の底上げにつながると著者は説く。
Smart Renewal History by The Room
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