編集長の毒吐録
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☆2019/3/12更新☆

【読書雑記519】『給食の歴史』 (藤原辰史、岩波新書、880円+税)。考えたこともない事柄の故事来歴を、世の中の動きを背景に考えた貴重な1冊、興味深く読めた。小学校で口にしてきた給食。給食は、子どもの味覚対する権力行使の面を持ち、それは命をつないで教育を模索する側面も持っている。給食を、貧困、災害、運動、教育、世界という5つの面から切り、これからを探る。

著者は、給食の歴史を、@萌芽期A占領期B発展期C行革期4つの時期に分ける。「まえがき」と第1章で給食の概要を記し、2章から5章まででそれぞれ上記の@からCの時期を記述、第6章と「あとがき」で将来展望を示す。

著者は「給食費未納が三か月続いた場合には給食を提供しないという決定」について、「子どもにスティグマを与えない工夫は、給食史の普遍的現象である」という立場から、「給食史の現代的な頽落である」と批判するように、新自由主義的な動きには厳しい。

著者は、「現場の主体性」すなわち「限られた政治的条件と押し寄せる合理化の波のもとでの創意工夫が、志ある学校栄養職員や調理員によって創出され、子どもたちを喜ばせたこと」を評価、「現場に寄り添った歴史研究」となっている。

著者は、給食とは「食事時間を挟んで関係者が滞在する必要のある施設、たとえば工場、病院、学校で、まとまった量の食を配分して集団で食べること、またはそのたべもののことである」と定義する。本書では、給食を通じた日本とアメリカとの関係や、日本政治の影響(自民党の選挙対策など)なども説明している。

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