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☆2019/4/3更新☆
【読書雑記526】『アメリカ 「帝国」の中の反帝国主義 トランスナショナルな視点からの米国史』(イアン・ティレル・, ジェイ・セクストン/編著, 藤本茂生・坂本季詩雄・ 山倉明弘/訳、明石書店、3700円+税)。
「世界の憲兵」と言われる帝国主義国アメリカには、欧州の植民地主義に反対する「反帝国主義」が存在し、反帝国主義は帝国主義と並立してきた。アメリカの対外介入と一国主義との関係に富む視点を提供し、 「トランプのアメリカ」の背後にあるものの理解を助ける。
アメリカにおいて、反帝国主義は帝国は、双子のような関係にあった。この点を踏まえて、本書は、政治的・軍事的な側面のみならず、キリスト教の海外伝道、女性史、環境論などの文化的な面にも筆が進む。また、アメリカ反帝国主義の現れとして、アメリカ本土以外の「反米」運動と並んで、アメリカ国内で連邦政府の反旗を翻したアメリカ先住民や南北戦争時の南部諸州の行動もとり上げられる。
「われわれは帝国を求めない。帝国だったこともない」。イラク戦争時のラムズフェルド米国防長官の言葉だ。世界随一の軍事大国が帝国ではない?!疑問が湧くが、このような認識は米国では珍しくないという。「帝国と言うなら条件つきだ。自由の帝国、慈悲深い帝国」。そもそも米国は、英国の植民地が自由や人民主権を掲げて誕生した。共和国の領土拡張は、帝国ではなく自由の領域の拡大を意味する。西部の土地もそうだ。
米西戦争後に併合したフィリピンにも独立が約束された。だから米国は帝国ではない。それが論理であり、そこに貫かれたのは、「米国例外主義」とも言える歴史認識だ。本書は、帝国への動きに抗う勢力を「反帝国主義」と括り、時代を追って検討する。
Smart Renewal History by The Room
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