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☆2019/4/26更新☆
【読書雑記532】『朝鮮人強制連行』 (外村大、岩波新書、820円+ン税)。1939年9月から45年8月にかけて行われた戦時労務動員を扱う。計画策定の過程、無謀な動員の実態、動員の中での暴力、動員体制の崩壊までを描きだす。「朝鮮人強制連行」の一端をも明らかにする。「朝鮮人強制連行」という用語は不適切であるとの意見がある。
ひとつは「経済格差や朝鮮での生活の困難さから日本内地事業所への就労希望者は当時相当いた」という捉え方、もうひとつは、「戦時下の日本政府の計画に基づく動員は朝鮮人に限定されているわけではな」く日本人の方がむしろ多く動員されたという認識にもとづくと著者は言う。
著者はこうした見方を否定はしない。実態を詳細に検討した結果、著者独自の見方にもとづいてこの用語を使うことは妥当と考えて本のタイトルにもしたようだ。読者は、本書を読んで、この用語が妥当かどうかを自分で判断することができるだろう。
著者は「民族差別や人権抑圧の過酷さ・・の批判はあってしかるべきだが・・日本帝国にとっての理想は、被動員者が喜んで動員先に赴き意欲的に生産活動に尽くすという状態だった」ということにも注目すべきだという。日本政府、朝鮮総督府、受け入れ先の事業所、朝鮮人の思惑の違いから関連法ができていく過程も詳しい。内地渡航を希望する朝鮮人は多かった。日本政府は労働力が絶対的に不足している炭鉱などに労働者を配置したいが、長く居座られると日本社会が不安定になるので期間を限定した。業者は、慣れてきた人を雇い続けたい。
総督府は日本内地ではなく朝鮮内で労働者の不足している場所で働かせたい。著者は、現在の外国人労働者問題との共通性にも注目する。戦前のひどさを強調してそれを特別視することが逆に、現在の問題を実態よりも軽く見ることにつながる危険性もある。相違点と共通点を挙げながら理解を深めていくという方法は有効。
Smart Renewal History by The Room
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