編集長の毒吐録
<<前のページ

☆2019/7/20更新☆

【読書雑記553】『平成時代』(吉見俊哉、岩波新書、900円+税)。本書の基本的な立場は、平成の30年は「壮大な失敗」だったというもので、かつその「失敗」は「歴史的失敗」というべきもので、これからの何十年に影響するという。例として、「少子化」もあげられる。子育て環境が整えられない政治・政策の下で、世界にもまれなるいびつな人口構成が進んだ。「失敗」は.「失敗」を全分野で総括することからしか展望は描けない。経済、政治、社会、文化で一体何がおきたのか、社会学者の著者が「ポスト戦後社会」の先の現実を総括する好著。

「壮大な失敗」ともいうべき平成は、これからも続く「失われる半世紀」への序曲だった。もし「失敗」を克服しようとするなら、それは、「失敗」の意味を多分野にわたり、聖域なしに総括することからしか、展望は描けない。

著者は、平成の30年間は一言で言うと「失敗の時代」だったと言う。失敗は金融を中心とする分野で顕著であり、それが、政治に社会にも影響したという。平成は4つのショックを経験した。第1に1989年のバブル崩壊であり、第2に95年の阪神・淡路大震災とオウム真理教事件であり、第3に2001年のアメリカの同時多発テロとその後の国際情勢の不安定化であり、第4に11年の東日本大震災と原発事故である。

他の先進諸国は、日本が90年代に経験した様々な限界を70年代に深刻に経験しており、それへの対応として社会の骨格を変化させてきた。だから90年代は欧米にとって復活の時となったのである。

ところが日本は、70年代の困難を社会の骨格を変えないまま乗り切ったから、90年代に何重もの荒波が襲ってきた時、それへの対応と自らの構造改革を一挙に進めなければならないという状況に直面した。そして平成の日本はこの困難を乗り越えることに失敗した。本書は平成について、経済・政治・社会・文化の各方面からまとめている。

Smart Renewal History by The Room

閉じる

First drafted 1.5.2001 Copy right(c)福祉広場
このホームページの文章・画像の無断転載は固くお断りします。
Site created by HAL PROMOTIN INC