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☆2019/9/10更新☆
【読書雑記569】『神聖天皇のゆくえ 近代日本社会の基軸』 (島薗進、筑摩書房、1800円+税)。大日本帝国憲法は、「天皇は神聖にして侵すべからず」と条文で言う。本書は、「大日本帝国憲法」が言う、「神聖」天皇の「天皇」を描くだけでなく、広く長い射程で、「制度としての天皇制」を描く。天皇を巡る人の心や行動にも叙述する。「日本人の精神史」ようとも言えようか。
歴史は、天皇は、「万世一系」と語られてきたわけでもなかったし、「神聖」というわけでもなかったことを教える。それは明治以降に作られた物語である。本書は、そんな初歩を教える。なぜ、どうして、天皇はかくも大きな存在になったのか。近代日本において天皇崇敬が促された経緯を辿り「神聖天皇」が社会に浸透した経緯を描く。
天皇の名の下に多くの人命が奪われ、敗戦を迎える。戦後になり「神聖」天皇は否定され「象徴」天皇に変わったのだろうか。著者は、「天皇が神聖な存在として人々から崇敬されるようになった歴史を可視化したい」と言い、神話から今日の歴史までを、客観的事実関係を公正に浮き上がらせ、研究者としての個人的な解説や評価を抑え、天皇像を浮かび上がらせる。天皇をテーマとした学術的宗教史とも言えよう。
この本は、時代背景と天皇の「位置づけ」「役割」の変化が分かり、天皇像が、時代によって作られたが読み取れる。本書は、神話の時代から現在までの天皇とそれをめぐる宗教的出来事が記述される。
Smart Renewal History by The Room
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