かよこさんの子育て・子離れ録
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☆07/01更新☆

第50回 おばちゃんのおしゃべり
 わたしにはいくつかのおしゃべり仲間がいます。なぜにおばちゃんたちはおしゃべりにエネルギーをぶつけるのか。しゃべりまくるなかで日頃のうっぷんを吐き出し、考えを整理して進むべき道を探ります。

 先日は月1回の定例をめざす、3人組が集まりました。次男あふるが1才から3才までお世話になった母子通園施設「ポッポ教室」のお母さんたちです。もう20年の付き合いになります。この3人は家族のことをよく話します。

 今回は「なぜ母は障害を持つ我が子にイライラし、ガミガミ言うのか」の話題で盛り上がりました。イライラしないお母さんももちろんいはります。イライラしないお母さんは立派です。

 二人は「あふるくんなんか、放っといたらええやん。なんでも自分でできるやろ?あふるくんかていい歳した青年なんやから、いつまでもお母さんに言われたくないやんか」と言います。そうなんですよね。そうなんですけど・・・。

 わたしは、あふるが何時間でも話し続けてくること、何度も同じことを質問してくること、そして歯磨き、髭剃り、洗顔だけでも毎日の世話が大変なことを二人に伝えました。 

 「わたしかて放っときたいワア。そやけど、この前なんか皮膚科のお医者さんに胸にカビが生えてるって言われたんやで。わたしが毎日体洗わんなんやろか、思ったらうんざりするんや。今までかて週一回ぐらいは洗ってあげてるんやんか。あふるに『きれいに洗いや』って毎日言わなあかん。毎日言ったってきちんと洗えるわけでもないし・・・。わかっているけど、ガミガミ言ってあたってしまう」

 この弁解がましいところが情けない。

 もうひとりのお仲間は、「うちの娘は言葉が出てないし、障害が重い子なんやといつも思っている。そやけど納得するまでごねて訴え続けてくる時なんか、もうええかげんにせーよとバチン、たたいてしまう」と言いました。わたしも自分のことでなければ「そんなにイライラしないで」と言えます。90才の親の介護、姑とのカクシツ、夫の世話、自身の入院・・・。彼女の現実も聞いて、「毎日、本当にご苦労さん」と思ってしまいました。

 お互い、こんな話を何回もしているところがおばちゃんです。

 この日の結びは、「自分の頑張りを認めてくれる人たちが回りにいることや、自己実現の場を持てているかどうかがカギ」ということでした。しゃべりまくったあとはきちんと落ち着くところに落ち着くのがすばらしい!

 この3人で海外旅行に行こうよ、と言いながらなかなか実現してません。

 それぞれの暮らしに帰れば頑張り屋のお母さんと世話好きなおばちゃんの顔になります。
筆者紹介
渡辺 加代子
1955年、千葉県生まれ。ホームヘルパー。 23、21、17、11歳の4人の子どもの母親、上3人は男の子。
長男は19歳で結婚、15歳から海外生活が多く、アフリカでサッカーのプロ選手だったこともあり、現在、BMX自転車のプロ競技者。二男あふるさんは、丹波養護学校卒業後京都市内のパン屋で働く。絵描きとしてのデビューは2003年3月。三男は日本将棋連盟のプロ棋士養成所である奨励会の会員。5才のときから保育園に通えなくなり、小中高と不登校。フリースクールにたまに顔を出す。長女は小学校を4日だけ体験、フリースクールも3年ほど行ってない。引きこもりにしては穏やかで、成長もはやい。友達とは遊ぶ。思春期真っ只中。
「三人の子と年1回の海外旅行を楽しむことを目標にしているが、2回しか行けていない」と嘆きつつ、「 三男の暴れがすごかったので、いろんなことが転換してしまった。つらい体験だったけど、やり直しができてよかった。おかしな子ばかりで、まだ子育ての現役を痛感させられる」と屈託なく微笑む不思議な人。
 
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