あんな本、こんな本
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『介助犬が家族になったとき』
石田俊浩・裕美 著
 石田家の長男の翔君と次男の衡平君は生後間もなく、筋ジストロフイ―であることがわかった。著者が「この子は、私が一生担いて動かしてあげよう」と決意するきっかけは、「おとーたーん、いっつも ありがと」と始めてしゃべった長男の感謝の言葉を聞いた時であった。

 本書の内容は6章からなっている。前半は、石田夫妻の心の葛藤や困難を乗り越えて明るく生活を切り開いていく様子が記述されている。率直で平明な文章に好感がもてる。二人の子どもの介護に没頭していく中で、著者の感じたことや、到達した考え方がさりげなく述べられているのだか、それが、人生の要諦とも言うべき至言になっており、深く考えさせられ、感動した。  後半は、介助犬「みやび」を飼うことになった経緯と、石田夫妻と子ども達の考え方の進捗が記述されている。私は、介助犬の役割について改めて教えられた。二人の子どもたちの心の動きもほほえましい。

 書名とは裏腹に後半は前半の内容に支えられて成り立っている感があるが、生きる力を与えてくれる書ではある。
 京都の地で、明るく生活を築いていっている石田ファミリーに心からのエールを送りたい。
『介助犬が家族になったとき』
石田俊浩・裕美 著
WAVE出版
本体1,500円



 筆者紹介
瀧本正史
京都市内の宝ヶ池近くに居を構える自由人。長年のサラリーマン生活から解き放たれるや、持ち前の遊び心が溢れ出て、写真、渓流釣り、そして読書と興味は広がる。本誌に写真を多く寄せている。つれづれなるままの読書の記録。
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