福祉遠めがね
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☆7/22更新☆

第3回
社会福祉・社会保障の構造改革のルーツをたどる(その3)

 労働組合の総会が迫り、議案書の討議や編集等で手が取られ、アップが遅れてしまいました(夏の 言い訳)。
 参議院選挙投票がありました。結果は御存じの通り、小泉氏の言う「痛み」の中身が国民に浸透 しきらない中での、なんとなく「改革」への「期待」の意思表明といった感じで「自民圧勝」。いつ もながら、マスコミのムードづくりにまたまた国民が躍らされたという図式でしょうか。 その、「痛み」の中身の周知とも大いに関係する、今号では、社会福祉・社会保障の「改革」に対 する国民運動側の動きを紹介します。

 ▼まず、政府や財界団体とくらべて、民主団体や民主的研究者の分野は、インターネットを利用 したホームページによる意見発表という点では、大いに遅れをとっているというのが私の感想です。 放送や新聞・出版といった大手マスコミのほとんどを、資本の側に握られて、「事実上思想統制さ れているような状態」が今の日本ではないでしょうか。せめて、ウエブ上にわずかの登録手数料を 支払うだけで(場合によっては無料で)、たちどころに国中の、いや、世界中のコンピュータにつな がるインターネットの特性を、もっと活用すべきでしょう。

 ▼閑話休題。ぼやいていても始まりませんので、少し紹介します。
社会福祉法の成立により、措置費制度が廃止され、2003年から「支援費方式」が導入される障害 者の分野ではどうでしょうか。
 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会は、障全協第35回総会決定(2001/04/17〜08)で、 で、「これまで以上の負担を求める「社会保障構造改革」の動き」の章を設けて、現時点における国 の動きや、問題点などを簡潔にまとめた文書を発表しています。なお、厚生労働省が検討している 最新の情報としては、「支援費方式のQ&A」などを公表した「障害保健福祉主管課長会議資料」 (2001/03/06)があるが、なぜか「厚生労働省のホームページ」には登載されていません。だいた い、全国課長会議というものは、各局(都道府県政令市で言えば「課」)単位の所管事業ごとに、少 なくとも年1回以上開催(導入直前の介護保険のように動きが激しい場合は、3回くらい行われた。)
され、法令の検討内容や具体的な取り扱いなどが広く公表される場となっています。
 障害者関係では、8月23日に今年度2回目の課長会議が開催されますが、厚生労働省が、せっ かく会議を開いて周知しようとしても、一部行政の担当者しかその内容を知らないのでは意味がな いでしょう。局ごとに、載せたり載せなかったり、載せても、比較的早かったり、やたら遅かった り、余りにも不統一です。せめて介護保険のように、会議を開いたら少なくとも2週間以内に、ホ ームページにアップするのが国の責任ではないでしょうか。とくに、この点は、今年1月の厚生労 働省の発足以後顕著になりました。労働省と統合される以前の厚生省の方がまだ少しはましだった ように思えてなりません。

 ▼社会福祉法が国会に上程されている昨年春の段階で、「国民のねがう社会福祉の拡充を求める 連絡会」(全国保育団体連合会、全国老後保障地域団体連絡協議会、障害者の生活と権利を守る全国 連絡協議会全国福祉保育労働組合及び日本自治体労働組合総連合の5団体で構成)は、「社会福祉 事業法の一部改正案に対する私たちの指摘」と題した文書をとりまとめ、共同で与野党各会派に要 請行動を行いました。しかし、残念ながらこの文書は、上記5団体のホームページのいずれにも掲 載されていません。私自身、関係者の一端として、反省する次第です。

 ▼個別には、福祉保育労働組合は、「社会福祉事業法等の一部「改正」法案の参議院・国民福祉委 員会での可決にあたって」(2001/05/26桑本書記長談話)を発表しています。
 自治労連としては、「老後の生活と人生設計を破壊する年金改悪の強行を糾弾する―――総選挙 こんな政治を打破しましょう―――」及び「誰もが安心して利用できる介護保障を確立しよう―― ―介護保険制度の施行日にあたって―――」(2000/03/28、04/01武下書記長談話)しかホームペー ジで発表できていません。内容も1年以上前の状況ですし、社会福祉・社会保障全体にかけられて きている攻撃との対比で見れば、まだまだ個別の分野にとどまっています。自治労連は、ことし、 「社会保障闘争の中長期計画」というかなりまとまった闘争方針文書を発表していますが、前述の ホームページでは発表されていません。国民とともに社会保障の拡充めざす立場から言えば、もっ と積極的にこうした文書などもホームページ上で発表すべきでしょう。

 ▼最後に、政党としては、日本共産党が、小泉内閣の「骨太方針」に対して、筆坂政策委員長の 談話を6月21日付で発表していますし、先の参議院選挙に当たっての分野別政策(社会保障)も 参考になるでしょう。

(次回は10月1日更新予定です)
案内者紹介
仙田富久
京都社会福祉労働組合協議会・議長。日本自治体労働組合総連合社会福祉部会事務局次長。京都府職員。
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