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☆2019/12/17更新☆
【読書雑記596】『平和を我らに 越境するベトナム反戦の声 シリーズ日本の中の世界史❺』(油井大三郎、岩波書店、2400円+税)。著者は、国際連帯の進んだ運動といわれたベトナム反戦運動を、ピークから半世紀を経た今日振り返り、その世界史的意義を、「民衆のグローバリゼーション」の観点から考える。モノ・カネ・ヒト・情報のグローバル化が押し寄せ、排外的ナショナリズムが各地で勃興する今、平和や人権を求める人々の連携が求められているのではないか。日米でのベトナム反戦運動の歴史を分析した1冊と言えよう。
第二次世界大戦下のベトナム独立運動、第一次インドシナ戦争とベトナム独立、ジュネーブ協定・・、さらには、冷戦下の日本の平和運動(原水爆禁止運動も取り上げられる)。以上を記述して、ベトナム戦争の推移と米国と日本の反戦運動が時系列的に記述される。
著者は、自身の思いを後ろに追いやり、客観的な記述に徹しようとした。べ平連という、従来の日本にはなかった、市民の自律的な運動に対する思いを著者は隠しきれない。とは言え、著者が客観的な記述に徹してくれたので、著者とは距離があった僕も、読書を楽しめた。自分のやってきたこと、あるいは考えたことを位置付けることが出来た。ベトナム反戦運動の研究では、本書は出発点に過ぎないだろう。民族自決を求めたホーチミンの要望を受け止めていれば、泥沼のようなベ絵はないかと改めて思った。
Smart Renewal History by The Room
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