編集長の毒吐録
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☆2019/7/23更新☆

【読書雑記555】『薬物依存症 【シリーズ】ケアを考える』 (ちくま新書、松本俊彦、980円+税)。「意志が弱い」「怖い」「快楽主義者」「反社会的組織の人」など、薬物依存症は、ステレオタイプ的な先入観とともに報道され、語られてきた。それは本当なのだろうか。本書は、薬物依存症にまつわる様々な誤解をとき、その真実に迫る好著。

薬物問題は「ダメ。ゼッタイだめ」や「自己責任論」の押し付けでは解決しない。痛みを抱え孤立した「人」に向き合い、つながる機会を提供する治療・支援こそが必要だ。医療、さらには社会はどのように対応すべきか。

これまでも薬物依存症を主題とした書はいくつかあったが、その多くは「薬物の怖さ」「依存症の怖ろしさ」の記述に終始し、かえって薬物依存症者に対する偏見を強めるだけの啓発本ばかりで、肝心の、「では、どうやって支援したらよいのか」に関する記述はほとんどなかったと著者は言う。

書いてあったとしても、それは、「ダルク」「自助グループ」といった記述があるだけで、そこには、なぜ当事者による支援が効果があるのか、そして、そうした社会資源が自分には合わないと思う人には他にどのような選択肢があるのか、という情報はなかった。

本書は依存症に関する問題点を述べている。安心して、「やめられない」といえる社会を目指してという記述では、「くすりをやりたい」という依存症者の言辞に、「変わらないといけない」という気分の現れを読み取る必要性があることを説明したのち、それが安心してできる社会のありかたが必要であること、そのために、当事者を「排除する」ことではなく、当事者に「つながり」を形成する社会を形成するかについて強調する。さらに、薬物乱用防止教育やメディア報道の問題点をあげ、あるべき社会の在り方もしめされる

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