今日は、先日来から和子さんが妙に自信をもち始めた母乳についての外来へ出掛けた。加奈子の体重は5,010グラムに増えていた。いろいろ診てもらった結果、和子さんのオッパイは順調に出始めているようだ。最近、加奈子がミルクを飲まなくなったのは、オッパイでお腹が一杯になってしまっているのだろうという結論に達した。
ところで、最近おもしろいことに気が付いた。ある世代以上の人は、決まって「赤ちゃんは暖かくせなアカン」という感覚を持っているというコトだ。
例えば、和子さんのご両親。外に出る時は加奈子をタオルで二重三重にくるむ。チョット加奈子を預けて、買い物に行って帰ると、加奈子は布団にくるまれて、巻き寿司のようになっていた。また、このあいだ馴染みの回転寿司に加奈子を連れて行った時は、そこで中年のご婦人に「赤ちゃんにはチョット寒いやろねぇ」と言われた。おそらく店内の温度は25度くらいだったのではないか?と思う。
一方、入院していた病院では、「赤ちゃんのいる部屋での室温は25〜26℃に」と言われた。8月の暑い盛りだったので、この設定温度は大人の僕達にはずいぶん涼しく感じた。部屋に泊まっていた僕は、長袖の寝間着を着て寝ていたくらいだ。
なんで、ある年齢層以上の人に、「暖かくせなアカン」という感覚があるのだろうか?原因を考えてみた。
おそらく、時代による栄養状態の善し悪しが原因ではないだろうか?栄養状態が悪かった時代は、赤ちゃんが体温を保つためのエネルギー源が不足しがちであり、すぐに冷えて体調を悪くしたのかもしれない。そのために、衣類や布団を多めにすることで体温を保たせていたのではないだろうか?今の時代は、オッパイの成分もミルクの成分も相当良くなっているので、それほど暖かくしなくても、十分赤ちゃんの保温状態が保てるのかもしれない。
子育てについての観念は、時代が変わってもなかなか払拭されにくい。「3歳児神話」なるモノが、未だにまことしやかに信じられているのも、その一つといえるだろう。
(ほぼ毎日の更新予定です)
|
|
|
 |