広場の視点
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第18回 在日外国人『障害者』の年金訴訟,なにが問題か
▼七名のろうあ者が、障害基礎年金の支給をもとめて京都で裁判をおこなっています。いま日本に住む人は国籍に関係なく20歳になったら基礎年金に強制加入となり、65歳になったら老齢年金を、もし障害をもてば傷害年金を支給されます。そして、20歳までに障害を負った人は、20歳になって年金制度に加入した時点でそのまま年金を支給されます。

▼しかし、1959年に国民年金制度が発足したとき、「20歳以上の日本国民」という、いわゆる『国籍条項』により、在日外国人は年金制度そのものから排除されました。1982年、難民条約批准にともない、「内外人平等」の原則から国民年金法が改正され、『国籍条項』はなくなりました。しかし、その時点で20歳を超えていた在日外国人障害者は年金が支給されないまま放置され今日にいたっています。7名はいずれも在日韓国・朝鮮人として「障害」と「民族」の二重の苦しさを背負って生きてきました。どちらか一方でも生き難いこの国で、結婚も就職も辛い思いの連続です。子どもの将来を案じて「帰化」した者もいます。しかし、帰化して日本人になり、たとえ選挙権が得られても、年金は支給されないままです。

▼日本人に対しては、年金制度が発足したとき、小笠原・沖縄が復帰したとき、中国残留邦人の帰国のとき、その都度、制度の枠からもれる人も年金が受給できるように、さまざまな「経過措置」が講じられました。しかし、外国人に対してはそれが一切ありません。橋本、園田と二人の厚生大臣がその必要性を認める答弁をし、二度にわたって衆参両院で付帯決議が挙げられているにもかかわらず、今なお具体的な措置はないままです。これはどう考えても国籍差別としかいいようがありません。

▼2000年3月の提訴から二年。坂口厚生労働大臣の「無年金障害者問題の早期解決」発言で一定の前進の可能性が出てきていますが、立法レベルでの解決と同時に、これまでの国の差別、立法不作為(怠慢)の責任を認めさせることの重要性も増しています。皆様のご支援をお願いします。

(第13回公判 原告本人尋問 2002年8月6日午後1時半より 京都地方裁判所101大法廷)
 筆者紹介
増野 徹
在日外国人『障害者』の年金訴訟を支える会事務局長
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