前号でお知らせしたように、妻との唯一のスポーツの水泳がダメになり、昨秋以降休日は私一人で行っている。一人で行くには朝一番しかない。妻が就寝中家をそっと施錠して、歩いて5分のプールに出かける。これまで妻と一緒だと、妻の手を引きながらの泳ぐというより水遊びという感じだった。
ところが妻がいないとなると、手持ち無沙汰で泳ぐだけになる。…となると距離が伸びる。しかしながら1つのレーンに何人も泳いでいると、自分のペースだけで200m、300mと一気に泳げない。つまり周囲の状態で泳ぐのを途中で止めねばならない。
そこでふと考えた。他人のペースに惑わされず、他人の邪魔にもならず好きなだけ泳ぐには…?つまり長距離泳ぐコツは、泳力より環境整備ということだ。
このプールはまず2レーン分の歩行部分、そして1レーンづつ初級、中級、上級と計3レーンあり、歩こうが泳ごうが自由の遊泳レーンが2レーン分ある。この遊泳レーンと上級レーンとのロープ沿いに泳ぐと、上級メンバーとの泳力ともゴーグルで確認出来る。ここだ!と思って今年に入り始業の9:30の一番にプールインし、まず「場所取り」する。30分で1000m泳ぐようになり、45分で1500m。まだ行けそうだがプールインストラクターしている娘は「素人が一気に1500m以上泳ぐと血流に異常が起こり、プールから上がったとたん倒れる人がいるから止めとき!」。はあ〜、そこは専門家の言うことに従うしかない。確かに45分も水平状態での有酸素運動。ずっと左で息継ぎするので首も少し痛くなる。
かくして、一気に1500m泳ぐと爽快感一杯。体は軽くなるし、血圧計は最高110〜100台、最低80以下と抜群の数値になる。
そんな良い気分の最近の週末、新聞で懐かしい人の投稿が。
2年前京都から東京へ移住されたその84歳の(老)人は、80歳の夫人と週6回プール通い、毎回1000m泳ぎ、ご夫妻のプール通いは5000回を超えたという。
上には上がいるものだ。ちなみにその人の名は、1989年京都市長選「あの321票差」の木村万平さんである。 |
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筆者紹介 |
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富田秀信
1996年春、妻の千代野さんは(当時49歳)、急激な不整脈による心臓発作で倒れていた。脳障害をきたし、何日か生死の境をさまよった。「奇跡的」に一命を取リとめたが、意識(記億)障害で失語、記憶の大半を失った。京都の東寺の前に住み、神戸の旅行会社に通う。数多くの市民グループの事務局長をつとめるが、その場に千代野さんの姿がよく見られるようになった。
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