ひゅうまん京都

WEB版 『ひゅうまん京都』

 

 
 
支援費が介護保険に飲み込まれる!?一体どう考えたらいいの?
(05年5月号)

応益負担は障害者福祉に馴染まない!障害者自立支援法案に異議あり!
「応益負担」反対と750人集う

 5月22日午後、テルサホール(京都市南区)で、「障害者自立支援法案に異議あり!これを福祉と呼べるのか?!1ヶ月2〜3万円もの負担増を強いる『応益負担』に反対する大集会」が、七五〇人の人々が集まって開かれました。衆院での法案審議が緊張している中でのこの大集会の開催は、京都はもとより、全国の運動と情勢にも大きな影響を与えました。
 障害や所属団体の違いを乗り越え、法案への賛否を横に置いて、「『応益負担』は障害者福祉にふさわしくない」との共同行動に、当事者は確信を持ち、広く注目が集まっています。    

編集長 集会は大盛況だったようだね。
記者 ええ、凄い集会でした。まず、参加者が多くて、多彩でしたね。障害者やその関係者だけでなく、自治体職員や学校の教員、研究者なども目だっていました。
編集長 地域的にはどうだ。
記者 久美浜から相楽まで、府内全域から車が来ていました。学生から高齢障害者まで年齢にも幅があったのですが、若い人の姿が目立ちました。「聞いて!聴いて!私の意見」のコーナーでは14組15人が発言していましたが、20代から30代の人が半数を占めていました。
編集長 主催者には団体が入っていないんだって?どうしてだ?
記者 厚生労働省から、団体に対して、「応益負担に反対」と態度を明らかにするなと圧力がかかっていると証言する人がいるんです。そんなこともあって、団体共同では、「応益負担反対」ではまとまらない。そこで、関係者は、「京都方式」といっていましたが、個人の資格で参加する実行委員会形式で主催することにしたようです。
編集長 「応益負担反対」を集会名称にした取り組みが珍しいんだろ?
記者 そうなんです。これほどの規模では、全国的にも珍しいですよ。
編集長 なぜ、それほどまでに大きな動きになったのだ?
記者 30数年、障害者運動に携わっている当事者が、「少なくともこれほどの盛り上がりはかつてなかった」と言っていましたが、やはり、「応益負担」への憤りが根底にありますね。
編集長 そりゃそうだよな。生きるために利用する福祉サービスを、「益」と言われたら、立つ瀬がないよな。
記者 えらい!そこなんです、参加者が交々問題にしていたのは・・。
編集長 対話「国会議員から市民へ、市民から国会へ」という企画もなかなかユニークじゃないか。
記者 民主党から3人、共産党から1人、衆院が2人、参院が2人と、賑やかでしたよ。「応益負担反対」と言い切る議員もいれば、いまいち態度が明らかでない議員もいましたが、少なくとも「対話」は成立していました。当事者などの窮状と憤りは伝わったんではないですか(14頁写真。左から、会場到着・発言順)。
 ところで、僕は、意見発表者の多彩さとその話しの深さに驚きました。発言者は肢体障害、知的障害、視覚障害、聴覚障害、精神障害、中途障害、難病者、そして家族、ヘルパー、医師、施設職員、児童デイサービス、学生無年金障害者などでしたが、目からうろこ、障害者問題の勉強にもなりました(写真左は京都頸髄損傷者連絡会会長の木村善男さん)。
編集長 仕事をしながら勉強もできるなんて、贅沢なもんだ。
記者 いや、僕だけではないと思いますよ。当事者も他障害の実状や要求を聞いたりする機会は少ないんです。
編集長 集会が成功してご同慶の至りだが、運動はどうなるのだ。
記者 二百人ほどが、厚生労働大臣と国会議員にあてて書いた「聞いて!聴いて!私のねがい」が冊子になって早速、国会議員に届けられました(その一部を14〜15頁に掲載)。当事者の生の声は審議にも影響を与えますよ。
編集長 しかし、国も無茶だよ。負担できない障害者の生きる権利への挑戦だね。
記者 「国はついに障害基礎年金にまで手を突っ込んできたか」との声があり、「いま闘かわずしていつ闘うのだ」の呼びかけが印象的でした。
編集長 応援しようじゃないか。

(k)


国会議員へ

◆私は障害児をもつ母親です。本当に不安がいっぱいです。
 子どもが学校卒業後の見通しもないままに、この「応益負担」の話し、もう目の前真っ暗です。一生この思いをもったまま、この子を抱えていかなければいけないなんて、本当に冷たい国です。
 作業所へ通う、生活する場があるのはゼイタクなものではないはずです。
私たち夫婦の老後はどうなるのだろう、国に対して私は絶望しています。

(女性)

◆一杯のコップの水を飲むためのヘルパー利用に負担がかかる、これをなぜ、「益」ととらねばならないのでしょうか。 
 手話通訳を利用するのに負担がかかる、これを益としなければならないのでしょうか。手話通訳を通じて、健常者といわれる人は話を理解するという「益」を受けているではないか。
 これらの話、本当につらい気持ちで聞きました。
 応益負担は障害の中味を知らない人の発想以外何ものでもないと思います。

(女性・作業所)

◆私は両足義足使用の身体障害者です。義足がなかったら一歩も立って歩くことができません。
今まで義足を作ってもらうのは国民の皆さんの税金のおかげで自己負担はありませんでした。足の手術をしなくてはけなくなったときも更正医療で助かってました。
 それがもし応益負担になって義足を作るたびに3万も4万も払わなくてはならない、もし手術をしなくてはならないときにいくらかかるのか分からない!こんなことになったら今でもやっとやっとの生活が・・・誠に苦しくなります。自立どころか家に引きこもることになります。
 応益負担は絶対反対です。どう考えても「益」とはいえません。

(女性)

◆障害をもつ乳幼児の通うデイサービスにもこの法案は大きく影響します。職員にとってもつらいことです。お金のない子どもは療育が受けられなくなります。利用料が上がると通いにくくなります。運営も厳しくなります。私たちのデイサービスは市からの補助金もゼロ!!やっていけません。
 子どもたちに当たり前の生活、遊び、食事ができることをねがいます。

(女性・児童デイサービス)

◆私はゼイタクはしていません。ギリギリで暮らしています。月末になると財布の中を見るのがこわいです。今月の生活費は足りるやろか?とビクビクしています。親はもういないから一人でがんばらんとと思って、人に迷惑をかけないようにヒッソリ生きています。共同作業所の工賃も多くない。もしも・・負担がきたらと思うとゾッとします。どうかすみ良い日本にしてほしいです。
 私は精神障害者です。安心できる国にしてもらいたい!助けてほしい!

(女性)


国会議員から

山井和則衆院議員「法案に反対だ。許せないのは応益負担。障害の重い人ほど負担が増えるのはおかしい。」
泉健太衆院議員「自立支援法の名に値しない法案。工賃を得てもそれ以上の負担が。反対の立場で頑張る。」
井上哲士参院議員「自立を破壊する法案。障害者福祉に応益負担を持ち込むのは間違い。反対だ。妥協はない。」
福山哲郎参院議員「同一生計者にも負担を求めるなど、時代に逆行する法案。原案通りには通せない。廃案だ。」

「応益負担」に反対する大集会決議

 私たちは、障害をもっていても、人としての尊厳を有し、かつ、人としての権利を実現するために、自分らしくあたりまえに生きたいと願っています。
 今回の障害者自立支援法案は、乳児から成人まで、障害を持つすべての人たちの福祉施策を根底から変える重要な法案です。その法案が、国民的議論もないまま、今にも決定されようとしています。
 私たち障害を持つ当事者が、あたりまえに日常生活をおくり、自分らしく生きていくために必要なサービスートイレに行く、食事をする、お風呂に入る、外出するーを「益」と言われること、収入の不平等にもかかわらず負担の平等だけを強いられること、これらを断じて認めるわけにはゆきません。
 これでは私たちの生活は破壊されてしまいます。
私たち「『応益負担』に反対する大集会」に参加した多くの障害当事者と家族、そして支援者は、お互いの主義主張を超えて、共にスクラムを組み共闘してゆきます。
 そしてこの障害者自立支援法案が、障害をもつ当事者や家族、支援者の声を聞くことなく一方的に策定され、採択されることに断固反対します。

 
 


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