ひゅうまん京都

WEB版 『ひゅうまん京都』

 

 
 
常任委員会から
 
台風23号、丹波・丹後に被害、そのとき障害者は?
(04年11月号)

 10月20日、全国に災害をもたらし、数多くの尊い命を奪った台風23号は、京都北部にも「こんなことは、70年、80年と生きてきてはじめて」と言われるほどの大きな爪あとを残しました。
 台風の直撃から10日ばかり経った今(10月末)、住民たちは一歩ずつ前へ歩み始めてはいますが、家電製品や畳は大量の粗大ゴミと姿を変え(写真上)、農作物は壊滅状態となって、完全復旧にはまだまだ遠い状態が続いています。

そのとき、障害者は?

 市街地のほとんどが水につかった豊岡市では、聴覚障害者に対し、勧告より強い「避難難指示」がFAXで送られましたが、本人が寝ていたために逃げ遅れ、丸二日間アパートに缶詰になったという例があります。また、停電でFAXが使えず、避難指示が全員に伝わらなかったという事例もあります。結局、聴覚障害者同士のメールのやりとりで、二日後に全員の安否が確認されたといったことなどが、テレビで報道されていました。

床上浸水にあった部屋。床下は泥
水圧で崩壊した堤防

 京都北部地域でも、豊岡同様、作業所や施設利用者の安否確認に手間取ったことが報告されています。
 大きな災害時には、停電はもちろん断水などの二次災害も一度にやってきます。 ただでさえ不安に陥る状況の下、一人で暮らしておられる精神障害者などにとっては、非常にストレスが強まるであろうことは容易に推測できます。

一人暮らしの人の困難

 身近で、こんな話がありました。
 一人暮らしの精神障害者に何度電話をしてもつながらない。3回訪問して探したが見つからない。大雨の後、地域の方も何度も訪問されたようですが、それでも発見できません。最終的には、中二階の暗い所でじっとしておられるのを見つけたといいます。    
 また、グループホームで暮らす障害者と、一人暮らしの障害者の精神的な安定度も、大きく違う事が報告されています。
 グループホームが床上浸水に遭っても、精神障害者の四名は、見守ってくれるキーパーさんが居てくれるという心強さが心身の支えとなったといいます。
 一方ひとり暮らしの方はひとりでストレスを抱えることになったために、環境適応が難しく、睡眠がとれない、幻聴が起こる、服薬拒否などさまざまな二次障害を引き起こしています。

がけ崩れで死者も出た宮津市滝馬地区。片付けは進むが・・。

 被災とその後の推移から、私は教訓として、次のようなことを感じています。
○日常的に地域住民とのかかわりを持ち、いざというときに声をかけてもらえる関係作り。
○危機管理体制の整備。
 緊急時、誰がどのようにして安否を確認するか?一人一人の連絡体制を確立しておく。
○停電時に備え、集団生活をする場では、自家発電機器を設置する(グループホーム、養護学校寄宿舎など)。

 *   *   *

 

 なかなか元通りの生活に戻れない住民たちの健康面や精神面でのケアも求められています。
今後ともの支援をお願いします。

(尾上豊・北障連事務局長)


 
 


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